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発達障害で就労した場合の受給ポイント
「発達障害で障害年金をもらっているが、就労したら受給は止まりますか?」という相談をよく聞きます。
国民年金や厚生年金保険の障害認定基準では、労働を従事していることをもって、直ちに日常生活が向上したものと捉えず、療養状況や就労状況を考慮して判断することとあります。
就労しながら障害年金の手続きを行う場合は、就労と日常生活の関係性をきちんと押さえながら進めることが大切です。具体的に、手続きを進めるうえでのポイントを記載します。
自閉症スペクトラム障害等
発達障害は、先天的な脳機能の発達の遅れによって引き起こされるいくつかの疾患の総称です。知的能力障害、学習障害、運動障害、コミュニケーション障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害などがあります。
基本的には、多くは幼児期から学童期に発見されるのですが、知的水準が高く成人になるまで発達障害に気づかれないケースが多いです。その代表としてアスペルガー障害を含む自閉症スペクトラム障害(ASD)が社会的に注目されています。
パニックで、脳がシャットダウン
■コミュニケーション、イマジネーションの障害
・他人への関心が乏しく、他人の感情や意図を理解・推測することが苦手(他人を察するという文化の日本では生きづらい)
・言葉を文字通りに受け取ってしまう(冗談や比喩が理解できない
・その場や相手にそぐわない、いわゆる「空気が読めない」発言や行動をする
■習慣や予定へのこだわり
・毎日の日課や習慣などに強いこだわりがあり、変えられない(仕事では、注意しても自分のやり方が変えられない)
・日課や予定を急に変更しなくてはならなくなると、パニックになる(脳がシャットダウンして眠ってしまうこともある)
■偏った興味や関心
・特定の物事や数字などに強いこだわりがあり、時に強みにもなるほど熱心に打ち込む(過集中) (例)ご飯を食べることを忘れて集中してしまい体重が大きく減少するなど
■その他の特性
・聴覚(音:コピー機の音や周りの雑談等)、視覚(光)、触覚(匂い、温度)などの感覚の過敏性を伴うこともある(その逆の感覚鈍麻もある)
その人の性格・人間性・努力不足と
障害(特性)を分けて捉える
■日常生活について(日常生活の困りごと)
ASDの主な症状・特性として、感覚過敏(鈍麻含む)、こだわり、曖昧な表現が苦手などの疾病性を事例性に置き換えてみる。日常生活にける事例性とは、以下の7項目です。
①適正な食事
②身辺の清潔保持
③金銭管理と買い物
④通院と服薬
⑤他人との意思伝達および対人関係
⑥身辺の安全保持および危機対応
⑦社会性
例えば、⑤他人との意思伝達および対人関係では、
・人とコミュニケーションの取り方もいまいち掴めていない。コミュニケーションがどいうものかも掴めていない。
・言葉を額面とおりに受け取ると言われたことがある。
・人との人間関係の築き方、保ち方、距離感がいまいち理解できていない。
・就労ではどこへ行ってもうまくいかない。
上記のように具体的に日常生活における困りごとを軸に障害年金請求の際に病歴就労状況等申立書などで年金機構に伝えていくことが重要です。
■就労について(会社で起きている困りごと)
就労している場合に、精神障害で障害年金を請求する際の重要な考え方についてまず説明します。例えば、交通事故で脊髄を損傷して下半身マヒとなり、車いすの生活となった場合でも、就労することはできますし、就労している方も多くいらっしゃいます。しかし、就労しているからといっても日常生活が向上しているとはいえず、支給停止にもなりません。
次にうつ病で障害年金を受給している場合、就労することができている場合、うつ病の症状であるやる気がおきない、倦怠感がひどいなどの症状が軽減され、日常生活も向上していると考えます。そのため、年金が支給停止される場合があります。
では、精神障害の仲間である発達障害(ASD)で、就労している場合は、どう考えるのかですが、ASDの方の多くは、就労している場合が多いのですが、コミュニケーションの障害、感覚過敏や鈍麻、強いこだわりなどで、就労において困りごとは多いです。例えば、
・曖昧な指示だったので、何をやるか分かっていない
・いつも同じミスを繰りかえす
・見通しが立たない不安感が強くなっていて何度も同じ質問を繰り返し、注意される
・自分ルールにこだわってしまって、作業中に上司に声をかけられて、上司に「話しかけないでください」といって、叱られました。
このように、就労しているからといっても、障害特性が無くなることはなく、日常生活が向上したとは言えません。上記のような就労における困りごとを具体的に、請求手続き時に、年金機構に伝えていくことが重要です。そして、このような障害特性を理解し、会社側が就労上の配慮をしている場合(内部支援や外部支援)は、その内容も具体的に年金機構に伝えていくことが重要です。
代表の徳永です。
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上記のお悩みについて、請求者の方で解決が難しいということでしたら、当事務所にご相談ください。
当事務所では、一筋縄でいかない難しい事案についても、社会保険労務士の資格をもった代表の徳永が対応します。そして、より効果的に障害年金の受給に結び付けるために、障害年金の請求実績が豊富な社労士事務所とのネットワーク(連携)を活かして、そのノウハウを共有して対応して参ります。